京都の旅といえば、寺院をめぐる事が多いですね。

今回は、京都で日本の歴史が生んだ才能ある芸術家たちの名品に触れる旅をしてきましたのでご紹介します。

まずは、京都国立博物館へ

こちらは、重要文化財に指定されている明治古都館(旧 帝国京都博物館 本館)です。

残念ながら、現在は免震改修他の基本計画を進めるため、展示は行っていないとのことで入れませんでした。

そのため展示は、平成知新館にて行われています。

現在、京都国立博物館では、御遠忌特別展「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」が開催されています。

なんといっても見どころは、一遍上人の生涯を描いた国宝の「一遍聖絵」全12巻が公開される点です。

開催期間:2019年4月13日()~ 6月9日(
前期:2019年4月13日(土)~ 5月12日(日)
後期:2019年5月14日(火)~ 6月9日(日)
※一部の作品は上記以外にも展示替があります。
(全12巻の前半部が前期、後半部が後期に展示されます)

美術品、史料として非常に価値が高いとされ国内最古の絹本著色絵巻といわれているそうです。
全巻が公開されるのは、17年ぶりのこととか。

一遍上人とは
鎌倉時代の僧侶で、念仏を唱えることで分け隔てなく人々が往生をとげられると説き、全国行脚を行い、念仏札を配り布教に努めたといわれます。

その宗派が「時宗」であり、太鼓やかねを鳴らして踊りながら念仏を唱えることで知られています。

実際に絵巻には、コミカルな表情をした人々が踊っている様子などが描かれている場面もあり、ついクスッと微笑んでしまうことも・・・
国内最古の絹本著色絵巻といわれていますが、作品の状態はとてもすばらしく、絵巻を見て当時の物語を楽しむことができますよ。

絵巻は、とても長い作品のため、見るのにも時間がかかります。

また、展覧会の事前調査で新発見された《銅造阿弥陀三尊像》《木造阿弥陀三尊像》《毘沙門天立像》を含む、多数の作品が展示されていますので、時間の余裕をもって博物館を訪れることをおすすめします。

基本情報

住所 〒605-0931
京都市東山区茶屋町527
開館時間 火~木・日曜日
午前9時30分~午後6時
(入館は午後5時30分まで)
金・土曜日
午前9時30分~午後8時
(入館は午後7時30分まで)
休館日 毎週月曜日、年末年始
※月曜日が祝日・休日の際は開館。翌火曜日が休館。
観覧料 一般  1,500円(1,300円)
大学生  1,200円(1,000円)
高校生  900円(700円)
( )内料金は20名以上の団体となります。
駐車場 三井のリパーク 京都国立博物館前
京都国立博物館での展覧会を観覧で、駐車場入場より1時間が無料となります。
お問合せ 075-525-2473
(テレホンサービス)

続いて、お隣の三十三間堂へ

京都国立博物館の南門から道の向かい側にある三十三間堂

※本堂裏側から撮影

正式名は、蓮華王院で、その本堂が「三十三間堂」と呼ばれています。

これは、南北にのびるお堂内陣の柱間が33もあるということから、そう呼ばれるようになったとか。

南北120メートルにもなるお堂は、圧巻の眺めです。

そして本堂内に安置されているのが、国宝である「千手観音坐像」「 千体千手観音立像」「 風神・雷神と二十八部衆」です。

とかく圧倒されるのは、やはり千体千手観音立像

前後10列の階段状の壇上に整然と並ぶ等身大の1000体の観音立像は、神々しくまさに圧巻です。

横から眺めてみても、少しのずれもなく並べられていました。

堂内は、さながら“仏像の森”と公式HPでは表現しています。

約500体には作者名が残され、運慶快慶で有名な慶派をはじめ、院派円派と呼ばれる当時の造仏に携わる多くの集団が国家的規模で参加したことが伺えます。

また、観音像には、必ず会いたい人に似た像があるとも伝えられていると言われています。

私は残念ながら、見つけることができませんでした。

基本情報

住所 〒605-0941
京都市東山区三十三間堂廻町657
開門時間 8時~17時(受付終了は30分前)
※11月16日~3月は9時~16時
休日 年中無休
拝観料 一般600円
高校中学400円
子供300円
※25名以上の団体
大人550円 高校中学350円 小学生250円
お問合せ  075-561-0467

続いて、養源院(ようげんいん)へ

桃山御殿(ももやまごてん)、血天井(ちてんじょう)、宗達筆襖(そうたつひつふすま)、杉戸絵(すぎとえ)など、いくつもの別名をもつ寺院です。

個人的には、この寺院が今回の旅で、一番のお気に入りとなりました。

三十三間堂のような派手さはありませんが、戦国の時代に生きた人々の不思議な因縁の歴史が刻み込まれた寺院といえるかもしれません。

私は、今回訪れるまで知らなかった寺院ですが、NHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国』が2011年に放送されてから、訪れる人が増えているそうです。

杉戸絵

最初のみどころは重要文化財にも指定されている俵谷宗達が描いた杉戸絵です。

分厚い杉の板の引き戸に架空の動物の絵が描かれており

  • 唐獅子図
  • 波と麒麟図
  • 白象図

の3点。
現代の3D技術にも匹敵するといわれるほど、今にも飛び出して来そうな迫力です。

実は、白象図の裏側にも唐獅子図が描かれているそうですが、残念ながら一般公開はしていないとのことでした。

これらは、非業の死を遂げた徳川の家臣たちの霊を慰めるため「お念仏、御回向」にちなみ、普賢菩薩の乗りものである白象、文殊菩薩の乗りものである獅子が描かれたとか。

足を蹴り上げ、こちらに睨みをきかせる躍動感あふれる唐獅子

こちらの白像の背中や足に入っているシワのよう線は、筆のかすれを利用して描かれたものだそうです。
俵谷宗達は筆のかすれまでも計算し、躍動感に溢れ美しい曲線美を見せるこの絵を描いているのです。

もうひとつのからくり

実はこの杉戸には、もうひとつのからくりがあります。

まず寺院に入ると、唐獅子図の杉戸があり、その左側の戸を開けると廊下の奥に白象図が現れます。

すると、ひれ伏した白い唐獅子とお辞儀をした白像のみが見える形となり、まるで訪れる客人を向かい入れているかのようです。

俵谷宗達の計算しつくされた作品。粋な計らいが、また私達を魅了しますね。

俵谷宗達と言えば、「風神雷神図」があまりにも有名ですが、当時無名だった扇絵職人・俵谷宗達はこの養源院にて描いた杉戸絵が、名を轟かせるきっかけになったといわれています。

襖絵「松図十二面」

養源院の客殿には、重要文化財に指定されている襖絵「松図十二面」があります。

しかもかなり間近で見られ、ガラスケースなどに入っていないため、直に目にすることができる貴重な機会と言えます。

宗達は、屏風絵はいくつか残していますが、襖絵として残されているのはこの作品だけだとか。

杉戸絵も併せて、どちらも養源院でしか見られない貴重な作品です。

血天井

これらの杉戸の間につながる廊下には「血天井」があります。

養源院の血天井は、伏見城の戦いで武将・鳥居元忠ら380名余りが自刃した時の床板を天井にあげたものです。

自刃後も2ヶ月近く放置されていたため、そのおびただしい血痕や脂によって顔や鎧の跡が染み付き、現在も血の跡がはっきりと生々しく残っています。
スタッフの方が血の跡を指し示して丁寧に説明してくれます。

うぐいす張りの廊下

足元の廊下のうぐいす張りとは、外敵の侵入をいち早く察知するために作られたと言われているもので、ゆっくり歩くほど音が出やすいように設計されています。

本堂にあるうぐいす張りは、江戸初期の彫刻師である左甚五郎が作ったと言われています。

左甚五郎は、日光東照宮の眠り猫や写真にある知恩院のうぐいす張り廊下を作ったとされ、落語の題材にもされている人物です。

そして、養源院のうぐいす張りの廊下は、豊臣秀吉の香炉を盗みに入った大泥棒・石川五右衛門が捕まったという伝説もあります。

※本堂は伏見城の殿舎を移築したものなので、捕まったのは伏見城になります。

「菊・三つ葉葵・桐」三つの御紋

秀吉の側室だった淀殿(浅井三姉妹の長女)父・浅井長政の供養のため建てたのがこの「養源院」。その後、徳川秀忠の正室お江(浅井三姉妹の三女)により再興された徳川家の菩提所でもあります。

豊臣家に創建されながら、徳川家の菩提所となる不思議な因縁の養源院。

お江はのちに天皇家へ嫁ぐこととなる和子を生んだことで、天皇家とも深くかかわることになります。

そのため、お江と秀忠の位牌には「菊」「葵」「桐」の3つの紋がつけられています。

  • 」は天皇家の紋
  • 」は徳川家の紋
  • 」は豊臣家の紋

この3つの紋が並んでいるのを見られるのはここだけなのです。

戦乱の世に翻弄されながらも、懸命に生きた先人たちの数奇な運命を辿れる寺院といえるかもしれませんね。

※実物は通常非公開のため、写真にて展示されています

養源院へは、三十三間堂から100メートルほど奥へ入ったところにあります。

スタッフの方が、中を案内しながら説明してくれます。

今では、普段目にすることもなくなったカセットテープで解説を流していて、なんかだか懐かしさを感じさせてくれる光景です。

建物の中は、保存のためもあるのか照明がとても暗いです。
スタッフの方が戸をあけて外光を入れて作品の説明をしてくださるので、なるべくお天気が良い日に行かれることオススメします。

基本情報

住所 京都市東山区三十三間堂廻り町656
参拝時間 9:00~16:00
拝観料 500円
お問合せ 075-561-3887

続いて、総本山智積院へ

こちらの寺院では、長谷川等伯(1539-1610)とその弟子達によって描かれた

  • 楓図
  • 松に立葵図

等伯の長男・久蔵の作とされる

  • 桜図

をみることができます。

桜図


※こちらは復元されたものです

金箔をふんだんに使った絢爛豪華(けんらんごうか)な色彩を背景に、力強い桜の大木を描き、そして絵の具を盛り上げる手法を用い、桜の花びらの一枚一枚を大胆に表現しています。

長谷川等伯の子・久蔵の若さ溢れる情熱が溢れ出ているかのような作品で、心を揺さぶられる感覚にとらわれます。

久蔵は、二十五歳の時にこの素晴らしい作品を残し、この翌年亡くなってしまいます。

このあまりにも若すぎる死には、才能を妬んだ者たちの陰謀説もささやかれているようです。

楓図


※こちらは復元されたものです

この楓図は、「桜図」の完成の翌年に亡くなった息子久蔵の突然の死を悲しみ、創作意欲を失いかけた等伯が、息子の分まで精進しようと自分を鼓舞し描いたものだといわれています。

桜図と同様な豪華さで楓の古木が枝をいっばいに広げ、その下には様々な草花がみごとに配されています。

息子の死という悲痛な思いを乗り越えた力強さと、落ち着いた秋の雅が感じられる等伯五十五歳の時の作品です。

その他の作品も国宝級

  • 松に秋草図』(国宝)
  • 松に黄蜀葵図』(国宝)
  • 松に梅図』(重要文化財)
  • 松雪の図』(国宝)

と言った作品も、国宝や重要文化財なのにガラスケースなどには入っていないのです。

思わず「良いの?」とこちら側が怖気づいてしまうほど、間近でみることができる貴重な場所です。

名勝庭園

「利休好みの庭」と伝えられるこの庭園は、豊臣秀吉公が建立した祥雲禅寺(しょううんぜんじ・智積院の前身のお寺)時代に原形が造られました。

その後、智積院になってからは、第七世運敞(うんしょう)僧正が修復し、東山随一の庭と言われるようになります。

築山・泉水庭の先駆をなした貴重な遺産といわれ、中国の盧山をかたどって土地の高低を利用して築山を造り、その前面に池を掘るとともに、山の中腹や山裾に石組みを配して変化を付けています。

国宝の障壁画がかつて飾られていた大書院はこの庭園に面して建ち、平安期の寝殿造りの釣殿のように、庭園の池が書院の縁の下に入り込んでいます。まるで水の上に立てられたコテージいるような気分です。

国宝の障壁画が復元されている書院に座り、庭園の滝から流れる水の音だけに耳をすます。
そんな贅沢な時間が過ごせますよ。

基本情報

住所 〒605 – 0951
京都府京都市東山区東大路通り七条下る東瓦町964番地
参拝受付時間 午前9時 ~ 午後4時
拝観料 一 般 500円
高校生 300円
中学生 300円
小学生 200円
※20人以上の団体でそれぞれ50円引きとなります。
駐車場 有り(宿泊・参拝の方は無料)
お問合せ Tel:075-541-5363

混雑情報

今回ご紹介した養源院智積院は、京都の中でも混雑することなく訪れることができるスポットだと思います。

京都国立博物館に関しては、土日よりも平日の方が混雑は少ないです。

ただ、特別展や夏休み期間中は平日でも混雑しています。

三十三間堂は、やはり修学旅行の時期には大変混雑します。

落ち着いて楽しむのであればこの時期を外して訪れると良いですね。

まとめ

いかがでしたか?
それぞれ歩いてすぐの場所に、こんなにも名品が揃う博物館や寺院が点在しているのは、京都ならではの魅力なのかもしれませんね。

京都に行かれる際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

名品にふれ、戦国の時代に生きた才能あふれる芸術家たちに思いを馳せてみませんか?